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自然体 その2

今回は、前回触れた横山流自然体のチェックポイントの解説をしようかと思います。
ただし書いておいてなんなのですが、文章での説明では少々分かりにくい事と、誤解を招いてしまう可能性があるため、あくまでも参考程度にとどめて頂きたく思います。

一、重心が土踏まずのあたりにあるか

おそらくは土踏まずに重心を持ってくると、かなり前のめりな感覚を覚えるかもしれません。しかし足で身体を支えるためには、足の中心である土踏まずに重心を置く事が最も効率がよいのです。
かかとに重心を持ってきてしまっては、身体のバランスは腰や頭で取る事になるために過度の負担がかかってしまい、腰痛や肩こりの原因にも繋がってしまいます。おまけに足先の方の部位も全く機能しておらず、全身をまんべんなく使いこなしている事にはなりません。
コツとしては、拇指球(親指の付け根の膨らんでるとこ)を特に意識してみるとよいです。

二、骨盤に傾きがないか

骨盤というのは、全ての土台になるところです。ですので、そこが傾いていれば全身のバランスが崩れてしまいます。抜きすぎても下っ腹が出てしまうし、反りすぎたらでっちりになってしまいます。
そこで軽く膝を曲げた状態で、骨盤を前後に傾けたりしながら、一番リラックスできるポジションを探してみるとよいと思います。
椅子に座り、坐骨で椅子を突き刺すように座ると感覚を掴み易いかもしれません。

三、丹田への意識

骨盤と共に重要なのは、この丹田への意識です。自分の師匠も、自然体において唯一力を入れていい場所だと言っております(まあ、厳密には力を入れるという表現はあまり適切ではないのですが…)。
近頃はここの意識がない人間が非常に多いです。そのせいで下っ腹がすぐに出てしまい、腰への負担が非常に大きくなっている人が多いです。見た目にもだらしないですし。
この「丹田」というものの位置を正確にイメージするだけでも身体の充実が全く違います。丹田に意識を集めるという事は、身体に芯ができるという事なので。
ここで簡単に丹田の位置をチェックする方法をお教えしますと、まず真っ直ぐ立った状態でそのまま前方へ倒れこみます。そのまま倒れこんでしまうと完全に床へ倒れてしまいますので、どちらかの足が自然と身体を支えようと前へ出るはずです。その前へ出した足で踏ん張った際に力が入る部分が丹田です。

四、骨盤の上に背骨一つひとつが乗っかっているか

背骨というものは非常に多くの細かい骨によって構成されております。それらを一本の棒でイメージしてしまうと、動き自体が固くなってしまいます。ですのでその細かく分かれた背骨というものが、骨盤を土台として下から一つひとつ乗っかっているイメージを持つ事で背中が固くなる事を防ごうという訳です。
また、背骨はトータルで見ると真っ直ぐではなくS字を描いているなので、一つひとつを丁寧に積み重ねてあげなければ全体的な歪みにも気付きにくいかと思います。
一度上半身を脱力した状態から、骨盤を起点として下から背骨を一つひとつ積み重ねて起こしてゆき、最後に頭を乗っけるという作業をしてみると分かり易いかもしれません。

五、背骨の先端に頭が覆い被さるように乗っかっているという意識

ついつい忘れてしまいがちなのですが、頭蓋骨というものは背骨と繋がっているのではなく、背骨の先端に覆い被さるように乗っかっているのです。
分かり易い例えを用いさせて頂きますと、ペコちゃん人形や赤べこの頭のようなイメージです。
つまりは、首というものは背骨の先端を支点にして動いているということです。
その意識を常に持って上下左右を向けば、決して首周りに緊張がかかる事はありませんので、視野も広く持つ事ができます。

六、胸の中心からお花畑が広がっているイメージ

胸を張ろうとか背筋を伸ばそうというような意識を持ってしまうと、どうしてもどこかしらに緊張が生じてしまいます。そこで気持ちのよい感覚をイメージしてそれが胸の中心から広がっている事を想像してみると意外とすんなり胸が開けてゆきます。
別にお花畑でなくても構いません。重要なのは感覚を内に向けない事なのです。

七、後頭部からものを見るイメージ

このイメージを持つだけでかなり視野は広くなります。実際には見えてる領域に差はないのでしょうが、意識が前方だけに集中しなくなるので、自然と認識できる範囲が広がるのです。
すぐ視野が狭くなる方にはお薦めです。

八、頭のてっぺん(百会)から糸で天へ吊るされているイメージ

百会とは、両耳から頭にそって真上になぞってゆき、ちょうどぶつかるあたりの場所を言います。そこからはるか上空に向かって糸が伸びていて、天から全身が吊るされているイメージを持ちます。
これは自分の身体の範囲内でだけで真っ直ぐにしようと思っても、どこかを修正すればどこかが歪む、というようなもぐら叩き状態になってしまう事を防ぐためです。
ここで気をつけるのは、上への意識ばかりが勝ってしまうと逆に身体が緊張してしまうので上への意識と共に逆方向のベクトルに意識を持ってゆかねばならないという事です。吊るされる事で自分の身体の重みをより感じるように心がける事が大事です。

九、土踏まずから百会にかけて芯が通っているイメージ

どんなにしっかりと意識の置き所を抑えていても、全てがバラバラであっては意味がありません。
土踏まず→丹田→背骨の先端→百会というラインに一本の芯が通っているイメージを持つ事で、統一されたひとつの肉体を意識します。

十、自分の身体の重みを末端まで感じる

普段何気なく生活していると忘れてしまいますが、我々は地球上にいる限りは常に重力にさらされております。人間というものはそれに反発して立ったり歩いたりしている訳です。つまり無意識のうちにとはいえ、我々は常に重力と反対のベクトルの力をかけ続けているのです。
そこで、自分にかかっている重力というものを感じてみると、いかに自分が無意識のうちに緊張しているのかが実感できます。
身体の重さ、服の重さ、可能ならば空気の重さにまで神経を注いでみて下さい。きっと何かしらの発見があると思います。


駆け足で説明してしまいましたので、分かりにくい文章となってしまいました。

全体を通して改めて見直してみると、やはりイメージの重要性という事がよく分かります。
そこで次回はイメージというものがどういう事なのかを書いてみたいと思います。
by syohousen | 2007-02-18 12:36 | 俳優訓練について
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