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「困った状況をつくる」WS プログラム試食会

2008年3月5日(水) 「困った状況をつくる」WS プログラム試食会 @アトリエ春風舎

昨日、アトリエ春風舎で行なわれた青年団の西村さんや山の手事情社の山田宏平さんらWS研による「困った状況をつくる」WSのプログラム試食会に参加してきました。
要は試作段階のWSメニューをモニターの方々に体験して頂き、意見交換をしてゆくというWS勉強会とでもいったものです。

【メニュー】

■王様マッサージ(×3)

マッサージというものの中には、驚くほどコミュニケーションの基本が詰まっているのだなという事をつくづく実感しました。

施術する側は、自分のやり方を押し付けてもいけないし、かといって遠慮して恐る恐るやっていてもあまり効果は得られない。重要なのは「如何に相手に気持ちよくなってもらうか」を求め続ける事。
逆にされる側はにも心に遠慮というものが存在する限り、十分な効果は得られません。如何にして自分の欲求をストレートに相手へ伝えるのかが重要になってくる訳です。
つまり、お互いの意思同士でのキャッチボールが必要不可欠になってきます。

自分のグループを例にとってその経過を見てみると、、、

●1回目:お互いに初対面同士という事もあり、心も身体もいたるところにロックがかかっていてぎこちないキャッチボールが続く。宏平さんの「会話を途切れさせないでみて下さい」という指示も相まって、とにかく目の前の事象の処理に必死だった。
●2回目:「このままでは埒があかない」と思ったのか思わなかったのかは定かではないが(少なくとも自分は現状を打破したかった)、皆が攻めの姿勢となり「多少強引かな?」というくらい強めの力の加減で相手の快・不快の境界線を積極的に探り出した。
●3回目:2回目の強引さが功を奏したのか、いつの間にか必要最低限の指示出しと質問だけでお互いの意思疎通がとれるようになり、意識せずとも意思のキャッチボールが出来るようになった。

このような流れで進行しました。
自分にとって素晴らしいなと思ったのは、1回目の時に言っていた宏平さんの「会話を途切れさせない」という指示。あれによって自分達のぎこちなさが浮き彫りになったため、2回目の積極性に繋がったのだと思います。

シンプルでありながら目に見えて効果的…自分にとって、非常に学ぶべきところの多かったメニューでした。


■握りまわし(手のみ→+自己紹介→全員で+自己紹介)

手のみで回している際には「受ける」「発する」を明確に分けつつ、それでいて意識の流れを止める事なく如何にスムーズに回せるかが大事なのだろうなと感じた。中盤から呼吸が一致してくるのが感じられ、その一体感はある意味快感にも似た心地よいものだった。

が、ひとつ制約(自己紹介しながら手は継続)が加わると、途端にその感覚は薄れ、自分の話す内容に一杯一杯となってしまいました。話す内容が重要ではないはずなのに、「何か気の効いた事を言わなければ」などと余計な思考が自分だけでなくグループ内を支配していたように感じました。言ってみるならば自意識が芽生え伝播していったのでしょう。その思考回路のお陰で、“今”に対しての集中力が著しく損なわれ、目の前の事に全力で向き合えなくなってしまいました。

しかしお芝居においては「今まさに目の前で起こっている現象」に対してのビビットな反応こそが重要なのに、その部分がすっぽり抜け落ちた状態でただノルマをこなしていては、そこに何の感動も生まれるはずがありません。

たしかに制約が増えてしまうとそこにとらわれ飾りも増えてきます。しかし、最も重要な部分を忘れてしまっては、折角の優れたメニューであっても意味がないのではないかと、あのメニュー時においての自分の精神状態を思い返してみて思いました。


■暗闇という制約の中でのミッション(犯人・警察・お宝)

日頃視覚に頼っていると、その感覚が失われた時に身体のいたるところにロックがかかってしまいます。このメニューは、それを利用して「自らの危機的状況」を身体で実感してみようという意図があったのかなと今思い返してみればそう思います。

が、その中で自分は「如何に危機的状況下でロックを外すか」というテーマを設けて臨んでしまったので、そのテーマが多少宏平さんの意図からずれてしまった気がします。この日の本題である「困った状況」への準備としてその状態を体感する事への意識を持って、もっと素直に非日常における肉体の強張りなどを観察してゆけばよかったかなと。
変に物事を予測しながら行なってしまうのは自分の悪い癖です。

とはいえ、ミッションの際には多少の緊張が実感できました。犯人を捕まえられるかどうかの瞬間は非常にスリリングで、厳密には「困った状態」とは違うのかもしれませんが、肉体の昂揚感としては充実したとても面白い身体になっていたのではないかなと思います。


■困った状況をつくる

本日の本題。
困った時の肉体というのは、見ていて本当に面白いです。おそらくは、困っている人間の精神や肉体の状態はとても不安定なため、それによって身体の充実を引き起こしているためなのではないかなと思います。

ここで重要なのは、「設定が困っている」のが面白いのではなくて「ただ単純に身体が困っている」状態である事が面白いという事。
その証拠に、説明的な身体や台詞が混じってしまうと途端につまらなくなってしまうのが、外から観ていてもまた実感としても感じられました。や、もしかするとこれは生の表現特有の特徴なのかもしれませんが…。

ちなみに、このメニューにおいても『王様マッサージ』の時同様、回を繰り返す事で「手探り→過剰→適切」という過程を踏んでおりました。
自分は、ここの部分をもう少し突き詰めて分析してみたいなと思います。もしかすると、そこにコミュニケーション力の発展に繋がるヒントが隠されているのではないかと思うので。



WS全体としては、一つひとつのメニューいずれにおいても今後に繋がるであろう発見が数多くあったので、参加して本当によかったです。
こういった勉強会的なお試しWSというものは今後自分も開いてみたいなと思いました。
by syohousen | 2008-03-07 00:26 | レポート(外部受講)
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