8/2(火)19:00~21:00
【声と身体の処方箋・勉強会】『読み会』 @西荻センター・勤福会館・第3和室 ◆使用テキスト◆ ●野田秀樹『半神』より抜粋 ●清水邦夫・村上春樹の著作のタイトルを並べて書き出してみたもの ●EGO-WRAPPIN'『くちばしにチェリー』『色彩のブルース』の歌詞 【進行】 ■それぞれの詩を持ってきた人自身でフラットに読んでみる ■他の人に読んでもらう ■他の人に、自分なりに試してみたいアプローチで読んでもらう ●江野澤くんの場合● ・歌詞を読んでみて、そこから得られる印象を言葉にしてみる →その印象を元にメトロノームでリズムを刻んでみて、そのリズムに合わせた読み方で読んでみる →フィードバック →その歌詞の歌を実際に聴いてみる →その歌詞の歌のPVを実際に観てみる →フィードバック ●横山の場合● ・(選んだのがモノローグの台詞の為)流れで読むのではなく、句読点で極端に区切ってみて読んでみる →普段の台詞との読む感覚の違いをフィードバック →句点と読点で切り方を変えて読んでみる(句点は詩の表記でいうなら段落が変わるように、読点は一マス空けるように) →先との違いをフィードバック →違う部分のモノローグ台詞を同じようにして読んでみる(こちらは詩的ではあるものの先のものよりは台詞っぽい台詞) →最初の台詞との違いをフィードバックしつつ、「詩の読み方」というものを検証してみる 【ふりかえり】 今月の読み会は、参加者がそれぞれで思い思いの詩を持ち寄り、その集まった詩を用いて色々なことを試せるような場として進行させてゆく形にしてみた。 ただ、これまでの予めテキストが決まっている状態で参加してもらうという形式に比べるとどうしても一作業参加のためにプラスされてしまうこともあってか、なかなか参加の申し込みが得られず2名だけでの開催となってしまった。 が、それはそれでやってよかったなと思える有意義な時間となれたので、しかもそれは2名だったからこその結果のようにも思えたので、結果としては怪我の功名だったのかなという気がしている。 一度はこの日の開催を取りやめようかとまで考えていたのだけれどもそれを止めて開催しましょうと意見してくれた江野澤くんには心より感謝。 今回、実際に詩を声に出して読んでみると(まあ、正統派の「詩」を2人とも用意してなかったのでこれが全ての詩と呼ばれるものに当てはまる感覚かはまた別の話となってくるかもだけれども)、普段「台詞を読む」という行為に慣れてしまっている役者の身としてはその読み方に対してかなりの戸惑いを覚えてしまった。 というのも、情感を入れて読もうとすれば逆に言葉が薄っぺらくなってゆくような感覚に陥り、やたらと噛んでしまうという結果になってしまったのと、その詩を通る一本の線というか芯のようなものが必ずしも「感情」ではなかったりするため、自らの身体の生理を基準にして読もうとしてもなかなか言葉が出てこないように感じたためだ。 同じ言葉でありながらも、発する際のメンタリティがここまで違うものなのかと非常に興味をそそられたのだが、そこでその「詩の読み方」についてのアプローチを、今回参加の江野澤くんと横山の2人で各々のやり方を以て検証してみようという流れになっていった。 江野澤くんは外部からの負荷を以て、横山は内側の身体感覚とイメージの距離感を測りつつでの検証となったのだが、どちらも面白い発見があったなと、素直にそう思えた。 2人で好対照のアプローチだったため、今回の読み会の進行を通しで俯瞰して眺めてみることでその検証に立体感が生まれてきたなと、そう感じた。 特に面白かったのは、メトロノームを用いてリズムに縛りを加えて読もうというアプローチで、その歌詞の歌が「歌詞に合わせて曲ができたのか」と「曲に合わせて歌詞ができたのか」という点にまで想像が膨らんでいったこと。 これは無意識的に、自然にそうなったのだけれども、『色彩のブルース』では歌詞から受けた印象を元にメトロノームのリズムを決めて読んだところを、『くちばしにチェリー』では歌詞からの印象よりもまず先にメトロノームのリズムを決めてからそれに合わせて読んでみたくなってしまったのだ。 このことに自分はフィードバックの際に気付いた訳なのだけれども、そこで思ったのが先に挙げた「歌詞が先か曲が先か」という違いなんじゃないのか、という点であった。 や、実際のところは分からないのだけれども、でも、そこまで同じアーティストの曲の歌詞であっても違う感覚を与えられるのかということに気付けたのは、ひとえに今回のような仕掛けを用いたからこそなのだと思った。 今回みたいな形式での読み会も案外いいものだなと、心から思う。 何よりこちらの意図しないようなものがその場で生まれてくることがとても嬉しい。 但し難しいのは参加のために一手間かかってしまうため、強制ではなく自由参加である読み会の性質上、若干ではあるけれども人が集まりにくくなってしまう傾向があるという点については、何らかの手を打ってゆくべきなのかもしれない。 まあ、あまり手を加え過ぎてもそれはそれで問題は生まれてくるだろうから、いいバランスを考えつつで、よき方向へと進んでゆけたらなと。
by syohousen
| 2011-08-03 10:19
| レポート(勉強会)
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