声と精神

声ほどその人の性格やその時の精神状態を表しているものはない、と自分は考えています。

精神と肉体は切り離せないものであるという事はよく言われている事ですが、その中でも一番精神の影響を受けやすく、また最も肉体に影響を与えるのが呼吸です。呼吸というものは、精神と肉体の間を取り持つ架け橋のようなものです。
声はそんな呼吸の延長線上にあり、呼吸の変化がダイレクトに伝わります。したがって呼吸の変化は声の変化に直接繋がる訳です。

また、「肉体の変化=楽器の変化」という考え方もできます。緊張すれば硬い声が、楽しい気分の時にはメジャーコード、沈んだ気分の時にはマイナーコードの声になる。これは全て、肉体という楽器の変化による影響での音色の変化です。
もう少し具体的な例として、「せっかちでお喋りな人」で考えてみると…


呼吸が浅い割に相手への意識が強く、喋る際に首が前に出がちになる。
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首が前に出るという事は、気道という筒状の楽器が潰れた状態になるという事であり、そんな状態で声を発し続けていれば自然と声帯への負担も強まるし、気道が狭まっているのだから呼吸もどんどんと浅くなってゆく。
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また、その人にとって歪んだ状態が標準になっているために楽器自体も変化に乏しく、同じ部位にばかり負荷をかける事になる。
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結果、浅い呼吸による過度の負担から声帯炎を引き起こしたり、同じ部分ばかり振動させたがために声帯にタコができてうまく声帯が閉じなくなり、常に声に息が混じったかすれた声になってしまう。

…もちろん様々な要素が絡まりあって人間の肉体は形成されているので、このように単純にはいかないとは思います。
しかし、こうやって考えてゆく事で、声からその人間のある程度の生活習慣等は窺い知る事もできたりします。また、呼吸の深さ、響きの位置、楽器の柔軟性などの変化を認識する事で、相手の現在の精神状態も察する事も可能です。
ただし気を付けなければならないのは、声はあくまでも身体の状態を表しているだけで、それ以上でもそれ以下でもないという事。そこを過信して「自分は声を聞けば相手の考えている事が分かる」などと自らの理論を盲信してしまう事ほど怖いものはありません(このような思考は“気”や“オーラ”等を理解していると自負している人にも通じますが)。
他者とコミュニケーションをとる上で「気付き」の要素がひとつ増えただけ、それくらい謙虚な姿勢こそが一番重要なのだと思います。

と、つらつらと書いてみましたが、そうはいっても「気付く」にはなんとなく声を聞いていてもなかなか気付きには繋がりません。
ではどう聞くと気付けるのか?よい耳というのはどういった耳なのか?
それを書くとまた長くなりますので(笑)、今日はここまで。
続きは次回に。
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by syohousen | 2006-10-09 18:19 | 俳優訓練について | Comments(0)
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