4/22(月)14:00~17:00
『劇の遊び場』 @宮城野区文化センター・3階廊下 【進行】 ■このWSについての諸々のアナウンス ■輪になって手を繋ぎ、目を閉じた上で周囲の音に聞き耳を立ててみる(30秒) ■各々思い思いに歩き出す →捻る、伸ばすなどのアプローチも加えてみる →空間にあるものに触れてみる →壁に身体の表面の全てを触れさせようと試みてみる ■空間にある数えられるものを3分の間に可能な限り数え、シェアしてみる ■クイズで自己紹介 ■王様マッサージ×2(2回目は言葉を使わずに) ■今身を置いている空間の中で、居心地のいい場所・悪い場所を探してみる →最も居心地のいい場所と悪い場所を決める →居心地のいい場所か悪い場所かどちらか一方を選び、他の人にはどちらを選んだのかを告げずに選んだ場所を紹介し、そこが居心地のいい場所なのか悪い場所なのかを当ててもらう →フィードバック ■休憩 ■ローテーションゲーム →移動しながら行い、距離感や位置関係によっての感覚や数え易さの違いを味わってみる →お互いにとって最も気持ちのよい位置関係を探し、決める →決めた位置関係を他のチームの人へシェアする →観ている側の人達に、2人がどういう関係に見えたかを言ってもらう →今度はその言われた関係性を盛り込んでみて、同じことをやってもらう →フィードバック ■立ち座り →フィードバック ■本日全体のフィードバック 【参加者の言葉】 「普段何気なく使って(通って)いるところでこのような普段と違った使い方をしてみることで、普段とは違った感覚に気付くことができた」 「空間の強度があるので、本当に沢山の使い方がやれると思う」 「これまでに室内でやってきたことと同じエクササイズをやっても、空間が違うと見えてくるものが全然違っていて、ここでしか気付けないことが沢山あった」 「まさかこんな場所でやれるとは思っていなかったので、単純にびっくりした。楽しかった」 「オープンな空間でやれることでワクワクした」 「後ろで職員さんが鯉のぼりを飾り付けていたのだけれども、それが手前でやっていたWSと不思議とマッチしていて寧ろそれがドラマチックに見えた。変てこな光景なのに、共存できていて面白かった」 「吹き抜け部分と、会議室前とでは全く違った空間としての特色があるので、同じ3階廊下でも色んな選択肢がある気がする。特に第三会議室前は半開放的なスペースではあるものの、普通に部屋として使えそう」 【ふりかえり】 今回、試験的な取り組みとして、宮城野区文化センターの館長さんや職員の方々に了承を頂き、休館日の施設内のオープンスペースを利用したWSを開催させて頂いた。 この企画自体は元々、普通に公共施設の一室を借りてのWSとしての開催を考えていたのだが、演劇の手法を用いたWSの可能性を探ってみたい気持ちもあり、また、以前に館長さんから休館日を利用した何かしらの企画をやってみたい、というお話を聞いていたこともあり、ダメ元で直に交渉へ行った結果、モニターとしての開催という条件で引き受けて頂けた、という経緯の元での開催であった。 自分としても、野外でのWSの開催経験はあるものの、こんなにも変則的な独特な空間でのWSは初めてであったため、どんな内容にするのか、どんな内容にするといいのかは全く読めないような状態で、正直に言えば不安だらけでの開催であったとも言える。 が、そんな状況がいい開き直りを生んだのか、始まってからはあまりガチガチに進行を固めようとはせず素直にその空間や集まって頂いた人達の身体の状態を引き受けて、そこから生まれてくるものへ身を委ねて進行させてゆくことがすんなりとできたように思う。 敢えて意識していたことを挙げるならば、 序盤:空間と向き合うことに重心を置いたエクササイズ 中盤:空間の影響を受け難い、どこででも行えるようなエクササイズ 終盤:直接的に空間とは関わりはないが、空間の影響を抜きには行えないエクササイズ という時間帯毎に大まかなテーマを分けて進めていったことぐらいであった。 そんなこんなで実施してみて感じたことは、この空間は、参加者にとってもそうであったようなのだけれども、ファシリテーターにとっても多くの発見を引き出してくれる非常に魅力的な空間であるな、ということであった。 ともするとああいった変則的な構造をした空間で何か行おうとなると空間そのものの存在感が強過ぎて何を行っても空間に負け、得られる発見もかなり偏ったものとなったりしがちだったりするのだけれども、あそこではそのような不自由さは全く感じることはなく、寧ろ使い方の間口が広く変幻自在な印象で、使えば使うほど可能性が拡がってゆくような自由度の高さを感じた。 開放的な印象がありながらも野放図にはならないくらいの(いい意味での)制約のある空間で、また、建物は綺麗なこともあって一見無機質な印象なのだけれども、実際にあの場へ身を置いていると吹き抜けのお陰なのかオープンスペースであれば館内のどこにいても人の存在を感じさせてくれる喧騒が行き届いているので、そこまで冷たい感じがしなかったりもする。 そんななんとも不思議且つ絶妙なバランスで成立している空間だからこその感覚なのかもしれないなと思う。 少々話が逸れはするのだけれども、WS中の参加者の様子を見ていてふと感じたこととして、表現形態によって向き不向きの差はあるだろうが、おそらく演劇やダンスなどの実演にもあの空間は適しているのではないかというものがあった。 まあ、やる側以上に観る側にとってはあの空間の持つ影響力は結構強いものがあるため、観客の想像力に委ねるような抽象表現を行う際にはかなりうまくやる必要があるだろうなとは思う。 何故なら、観客の想像力に委ねたいのであればスタジオでやった方が観ていて余計な情報も入ってこないし、何より非日常の空間であるために観客としても頭のスイッチを切り替え易いためで、何もわざわざこんなノイズの多い空間で実演を行う意味がない、ということにもなってしまうからだ。 しかし逆に、このノイズの多さを組み込まなければできない表現というものも確実に存在していて、そういう作品をスタジオなどの閉じられた空間で行ってしまうことも、それはそれで勿体ないことであると思う。 ここら辺は作品に応じてうまく上演される空間の棲み分けがされてゆくようになってくるときっと舞台表現も今より幅が出てくるのだろうけれども、現時点ではまだ演劇などはいわゆる「劇場」と呼ばれているスタジオの中でしか行われないもの、という認識は根強くあるように感じる。 ここの点においても、今回のような取り組みがそんな固定観念を壊すための何かしらの楔を打ち込むきっかけになれたらなと思っていたりする。 もちろん、そのために自分も何ができるのか考え、動いてゆこうと思っている。 思うに、自分としてはこういう取り組みが継続的に行われてゆく中で、「人の集う場所」としての“劇場”が育ってゆくことができたらなと、そう思う。 まだまだ道のりは長いとは思うけれども、しかし、スタートラインをひくことはできたのではないか。 だからこそ、ここから根気よく、腰を据えてかかってゆきたい。
by syohousen
| 2013-05-06 19:38
| レポート(主催)
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