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台詞なんて、さっさと入れてしまえばいい

自分は、演劇公演に俳優として関わる際には、
誰よりも早く、台詞を入れるように心がけている。

これは、高校生の頃からそうで、その理由は、
「俳優が創作の過程で行うべき作業の中でも
 俳優としてのスキルや経験がなくても努力次第で一番になれる、
 若手もベテランも関係なく皆がフラットな立ち位置で闘える」
そんな作業だからだ。


まあ、そうはいっても台詞を覚えるコツや、
言葉と身体をうまく連動させ、馴染ませるには
それなりに経験やテクニックも要求されるものではあるが、
しかし、芸暦数十年の方と芝居を始めて数ヶ月やそこらの人間が
まともに闘えるフィールドといったらここしかないのではないかと思っていて、
だからこそ、自分はムキになってその座組内で
真っ先に台詞を入れられるように取り組むようにしてきた。

というか、そもそも、経験や技術面で劣っている以上、
そこだけでも差を埋めておかないと、とてもじゃないけれども
先輩方に太刀打ちできるとは思えなかったし、
それだけに先輩方よりも台詞を入れるのが遅かったりすれば、
それは同じ舞台に立つ者としてこれ以上ないほどに
失礼なことであり、恥ずべきことであるのだと思っていたのだ。


そんな発想でずっと俳優へと取り組んできていたのだが、
今、少しずつ後輩も増えてきていて、
その手を緩めるのか、といえば、決してそんなつもりはない。

だいたい俺の本気を上回ってもらわなきゃ意味はないと思っているので、
後輩ができたからといってこれまでの「誰よりも早く台詞を入れる」という
この姿勢を崩すような気持ちは微塵も持ち合わせてはいない。

むしろさっさと台詞を入れてしまうことで、
後輩を焦らせ、煽ってゆくぐらいの気持ちで稽古へ臨んでいる。


創作は、共演者との勝負事ではないのはもちろんわかっているが、
しかし、競い合うことというのはとても大事なことだと思う。

だからこそ、自分はいくつになっても
ガキのようにムキになって共演者とも張り合ってゆくつもりだ。

物分りのいいふりをして、競争心を畳んでしまうことだけはしたくない。
by syohousen | 2012-07-04 11:53 | つれづれと
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