◆◇◆声と身体の処方箋・勉強会◆◇◆
『川越案内』 ■リーダー:横山 真 ◆案内人:横山 真 【進行】 [その1] 9/12(日)12:00~22:00 @川越市内 本川越駅(集合) → 蓮馨寺 → まめ屋 → まちかん(刃物屋) → 蔵造り資料館 → そうび木のあとりえ → 『うなっ子』脇のベンチ → 菓子屋横丁 → 川越城中ノ門堀跡 → 川越市立美術館 → 川越市立博物館 → 喜多院 → tricycle cafe → 川越駅(解散) [その2] 10/11(月)18:00~21:30 @山野区民集会所 ■『その1』にて印象に残った人(職種や質感など)、場所、その他についてをシェアリング ■各人で一番印象に残った場所を挙げてもらい、それを他のメンバーと協力し場を再現してみる(もしそこに先に挙げた印象的な人を絡めさせられるようならば、その人を誰かに配役してみる) ●今回再現した場所● ・川越市立博物館の一室(印象的だった人物:学芸員) ・うなぎ専門店『うなっ子』の脇にあるベンチ ・喜多院の休憩所兼売り場(印象的だった人物:売り場のおばちゃん) 【レポート】 今回の勉強会は、2段階に分けて行ってみた。 まずは[その1]について。 「自分の住んでいる町に知人を招き、案内する」という行為を通して、日々の生活を経て慣れ親しんでいるはずの「地元」への見方に刺激をもたらし、新たな発見を促すことを目的として行ってみた。 これは元々、WSなどでたまに行っている「今いるその空間をガイドする」というエクササイズの応用編というか、拡張版である。 他者に何かしらものを教えるということは、自らにも多くの発見を促してくれるものであり、その教えようとしている事柄に対する見方も変えてくれたりもする、非常に「学び」へと直結した行為である。 それに、教えられている側からも、自分の世界観では思いもしなかったような質問が投げかけられてくる可能性があり、自分一人では決して気付けなかったようなものに気付くきっかけとなったりもする。 「空間のガイド」は、「今いる空間を他者に紹介してゆく」という具体的なミッションが課せられることで、空間への働きかけ方も具体的になり、ただ何となく空間を眺めるよりも遥かに効率よくその空間のことを知ってゆくことのできるエクササイズだ。 今回行ったのは、上記のような発見が、そのガイドの範囲を拡大させても起こるのかどうか実験してみた訳なのである。 また、今回は「地元」を案内の題材に使ったことで、地元であるが故に、興味を持ちながらも「いつでも行けるからいいや」とずっと足を運ばずにいた場所へ行くきっかけにもなれたりもした。 そういう点においても、「その土地を知る」ためにこういうアプローチ法を採ることはとても有効だなと感じた。 おそらく、同じことを「全くの未踏の地」で行ってみたならば、それはそれで今回とはまた違った面白い発見が沢山得られるのだろうと思う。 こちらも、今後機会があれば試してみたい。 そして、[その2]。 こちらは、[その1]にて実際に案内された場所達について皆で意見交換を行い、その後、各人の印象的だった場所を一箇所ずつ各々の身体と空間を共有している者同士の関係性だけで再現してゆき、最終的にはそれらの場所を組み合わせ絡み合わせてゆきながら、最終的には観ている側の人間の中に一つの街を浮かび上がらせてゆこうとしたものである。 おそらくは、この手のWSというのは既に世の中の様々な場で行われているのだろうし、決して目新しい内容のものではないとは思う。 が、しかし、自分には、このやり方に、これ以上ない可能性を感じた。 もしかすると、これをうまく発展させ、しっかりとした方法論を確立させることができたならば、今後の自分の活動における軸にさえなり得るものが得られるのではないか。そんな予感がしたのだ。 その予感を感じることができたのは、この日最初に再現してもらった博物館の一室についての詳細を詰めている最中に参加者へ言った「事実に忠実であることよりも、記憶に忠実になって欲しい」という一言である。 自分はこの言葉を発した瞬間に、「これだ」と感じた。 敢えて各参加者の記憶という不確かなものを中心に据えることで、以前行った場所の単なる「再現」から「創作」へと各々の中でチャンネルが切り替わるんじゃないか、、、そう思ったという訳だ。 各々の記憶という、極端に言ってみれば主観の塊のようなもの同士を、時にはぶつけ合い、時には刷り合わせながら創られてくるその「場」というものは、とても劇的な空間となるのではないだろうか。 ただ、そうは言ってもまだまだ課題も問題点も多い。 何より、このやり方でひとつの街を作り出すのは可能であっても、それだけで終わってしまっては参加者に演劇の魅力を十二分に体験してもらうにはまだ物足りない気がするのだ。 おそらく、何が問題なのかといえば、今は「このWSがもたらしてくれるもの」のことしか見ておらず、「このWSの最終的な目標」が放っておかれていることが問題なのだと思う。 別に観ている人間を意識せずに街創りへと没頭するのでもいいから、とにかくこのWSが最終的に何を目指すのか、、、 例えば「街の完成」なのか、或いは「発表」なのか。 もし「発表」を目指すのならば、観客の対象範囲は?そのクオリティは? そんなことも考えに入れて行ってゆかねば、参加者の方々には十分な成果を得てもらうことはできないと思う。 今後は、そこのところもしっかりと視野に入れつつ、色々な可能性を試してゆきたいなと考えている。 今回行った[その1][その2]は、共に基本的なシステム自体は悪くはないはずなので、如何にしてそこに魂を入れるのか、なのだろうなと思う。 自分の理想としては、将来的にこのエクササイズを利用して、地域密着を目的とした市民参加型の公演や子供向けのWSを行えるようになれれば、と考えている。 だからこそ、今抱えている問題を、一つひとつ、確実に、クリアにしてゆかねば。 まあ、という訳で、この「案内シリーズ」は、今後もこの勉強会内で開催してゆくことになるかと。
by syohousen
| 2010-10-18 21:31
| レポート(勉強会)
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