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原点に立ち戻らせてくれる場所

昨日は溝の口の方へ、洗足学園音楽大学1年生による
シアトリカル・リーディング(演劇的朗読)の公演を観に行ってきた。

この公演は、2年前に初めて観に行ったのだが、
そのあまりの素晴らしさにそれ以来、毎年観に行くようになってしまった。


いったい何が素晴らしいのかといえば、
舞台上に立っているほとんどの生徒が初演技という状況でありながら、
そんなことをみじんも感じさせない実に堂々とした演技を見せてくれるからである。

しかもそれは代替わりをしても決して変わることはなく、
ここの生徒のよき伝統として毎年受け継がれている。


とにかく誠実に己の役と向き合い、
そして怖れることなく作品の世界へと飛び込んでいる。

また、初演技という自分達の状況を決して言い訳とせず、
むしろそれをエネルギーに変えて「今の自分達にできる最高」を
飾ることなく観客へとぶつけてくれるのだ。


たしかに拙い部分は沢山見られた。

が、一観客としてあの場に身を置けていることに
幸せを感じることができたのは紛れもない事実である。

思うに、表現活動を続けてゆく中で迷いが生じた時などに、
一度立ち戻ってみるべき原点のようなものが
この作品の中には存在しているのではないだろうか。

キャッチボールの楽しさ、
シュートを決めた時の嬉しさ、
逆上がりができた時の達成感、、、

それらに通じるような喜びが、あの生徒達の中には確実に存在していたように感じる。


自分も、とても素敵なエネルギーを受け取ることができた。

しかも終演後の拍手も、
普段の拍手をする時に比べて更に強い想いが自然と込められていたような気がする。

おそらく、生徒達から受け取ったエネルギーと、
こちらからのお返しのエネルギーが、
非常にスムーズな形で循環していったのではないか、と思う。

受け取ることは、与えること。
与えることは、受け取ること。
きっと、どちらかの一方通行では、その喜びは半減してしまうのだろう。


このように素敵なひとときを過ごさせて頂けたことに、心より感謝したい。


本当に、ありがとうございました。
by syohousen | 2009-07-12 07:32 | つれづれと
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