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「受け身」の重要性

完璧な人間はいない。
人間に失敗はつきものだ。

これらのことはほとんどの人が知っていることである。


失敗というものは、非常に辛くて悔しいものであり、
同時に恥も伴ったりもする訳で、できることなら経験したくのない嫌なものである。

が、前述の通り、生きている以上はどんなにうまく世の中を渡ってゆこうとも
100%失敗を避けて生きてゆくことは限りなく不可能に近い。


ならば、学校などの学習の場にて最優先に教えるべきものというのは、
「失敗しないための術」などではなくて
「失敗と如何に向き合ってゆくべきか」という
「受け身のとり方」「転び方」なのではないかと思う。

子供のうちは「失敗しないように」「傷付かないように」、
「衝突」もなければ「競争」もなく蝶よ花よと育てられてきたにも関わらず、
いざ社会に出た途端に他者と争わなければならない、、、

そんな今の教育周りの風潮は、非常に危険なのではないだろうか。

「失敗しないように」育ってしまった子供は、
「失敗=悪」という発想になってしまっても無理はない。

何故なら、失敗の経験が絶対的に少ないために
その失敗とどう接してよいのかが分からず、
「失敗という事実に対するネガティブな印象」などという
極めて曖昧なものだけで現実に対して判断を下してしまうためである。

そして、そういった判断基準であっては、
失敗してしまった時点で全てが終わってしまったような気持ちになり、
そこから先へと考えを到らせることができなくなってしまうことは十分にあり得る話だ。


柔道ではまず初めに「受け身」を身に付けることから入る。
お芝居における稽古場には「恥をかく場」という側面も持っている。

失敗なしで物事を成し遂げることは現実的に考えても無茶がある。

だからといって失敗しないように恐る恐る物事に取り組んでいったところで、
そんな姿勢で取り組んだ結果はたかがしれているだろう。


もちろん失敗はしないに越したことはないし、
失敗が許されない職種だってこの世には多く存在する。

しかし、実際問題としてリスクを0にすることは不可能である。

だからこそ、失敗をすることの怖さを、
そして、如何にしてその失敗と向き合うべきかを、
失敗しても許されるような環境に身を置いている時を利用して
肌で学んでおくべきだと思うのだ。


失敗する怖さを知っていれば、
リスクを最大限減らそうとする努力を怠らなくなるだろうし、
油断することの危険性も理解できるだろう。

そしてもし実際に失敗をしたとしても、
過去に失敗を乗り越えた経験があったならば、
余程のアクシデントにでも遭わない限りパニックに陥るようなこともないだろう。

また、自らの失敗と真摯に向き合ってきた人というのは、
「失敗=悪」などという安易な思い込みに左右されることはないため、
他者の失敗に対してもやはり真摯に向き合えるものである。


他者の失敗を鬼の首でも取ったかのように躍起になって叩こうとする人。

逆に「彼にも事情があったんだから、、、」と
何でもかんでも仕方ないで済ませて責任の所在をはっきりさせない人。

こういう人達は、大抵の場合、これまでの人生で
失敗とちゃんと向き合えていなかった人達なのではないだろうか。


失敗すること。
恥をかくこと。
そして、それに負けずに再び起き上がること。

自分にとっても、指導する時に最優先していることは
「受け身のとり方」を体得してもらうことである。

実際、これを体得してもらえるかどうかによって、
その後の成長具合が比較にならないくらい変わってくるのだ。


が、正直な話、こういったことは子供の頃から習慣付いていてほしくはある、、、
by syohousen | 2009-05-10 07:51 | つれづれと
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